この記事の要点

  • はちみつ大さじ1(15ml)は約21g、小さじ1(5ml)は約7g、1カップ(200ml)は約280gで、水の約1.4倍の重さになります。
  • はちみつが重いのは、文部科学省の食品成分表で100gのうち炭水化物が81.9g、水分が17.6gと、糖が詰まった液体だからです。
  • 水分が減るほど比重は上がります。1kg入りの瓶は、水分18〜20%の蜜でおよそ700〜710mlです。

「1kg入りのはちみつを買ったのに、瓶が思ったより小さい」。あるいは、レシピの大さじ1をはかりに載せたら、水とは違う数字が出た。そんな経験のある方は多いと思います。はちみつは見た目の体積のわりに、手に持つとずしりと重い食べものです。

その理由は、中身の大半が糖だからです。この記事では、公的な重量表の数字から出発して、比重の意味、水分による変化、瓶の容量とグラムの換算までを順にたどります。

朝の台所で、はちみつと砂糖を並べて量る様子を描いた淡彩イラスト

はちみつ大さじ1は21g——公的な重量表から

はちみつ大さじ1杯(15ml)は約21gです。小さじ1杯(5ml)は約7g、1カップ(200ml)は約280gで、水の1.4倍にあたります。

国立健康・栄養研究所と広島市の換算表

国立健康・栄養研究所の重量目安表では、はちみつ(食品番号03022)は5mlで7g、15mlで21g、200mlで280gとされています。広島市が公開している計量の換算表も同じ値で、小さじ5cc・大さじ15cc・1カップ200mlに対し、はちみつは7g・21g・280gです。

広島市の表は、計量はすりきりで行うこと、液体は表面張力で盛り上がるところまで入れることも述べています。計量スプーンのへりまでたっぷり入れ、水平にならす、というのが前提の数字です。

水15g・しょうゆ18g・はちみつ21g——同じ大さじで違う重さ

広島市の表で、同じ大さじ1杯を並べてみます。

食品小さじ(5ml)大さじ(15ml)1カップ(200ml)
水5g15g200g
しょうゆ6g18g240g
はちみつ7g21g280g

水は1mlがほぼ1gなので、容量と重さが一致します。しょうゆは塩分や成分が溶け込んでいるぶん少し重く、はちみつはさらに重くなります。

上白糖9gとの差は倍以上

国立健康・栄養研究所の同じ表で、上白糖は大さじ15mlで9g、200mlで130gです。大さじ1杯で比べると、はちみつ21gは上白糖9gの2倍以上になります。砂糖は粒のあいだに空気があるので軽く、はちみつは隙間なく詰まった液体なので重い、というわけです。

なぜ水より約1.4倍重いのか——中身の8割が糖

はちみつが水より重いのは、水より重い糖が全体の8割以上を占めるからです。文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、はちみつ可食部100gあたりの水分は17.6g、炭水化物は81.9g、たんぱく質は0.3g、灰分は0.1gです。水は2割に満たず、残りの大半が糖です。糖の成分の割合については、はちみつの成分を糖8割・水2割から見た記事で詳しく扱っています。

比重と密度の違いをひとことで

比重とは、同じ温度の水と比べて、同じ体積で何倍の重さかを表す数字です。密度は1立方センチメートルあたり何グラムかという単位つきの値で、水の密度をほぼ1とすると、数字の上では近い値になります。はちみつの比重が1.40なら、同じ体積の水より1.4倍重い、という意味です。

280g÷200mlで1.40になる計算

先ほどの換算表から、比重はすぐに出せます。1カップ200mlが280gなので、280÷200で1.40です。大さじでも、21÷15で1.40になります。重量表の数字は、比重1.40前後の蜜を前提にしていると読み取れます。

糖が多いほど重く、水が多いほど軽い

水の比重は1で、糖が溶け込むほど数字は大きくなります。同じ体積なら、糖が多く水が少ない蜜ほど重く、水が多い蜜ほど軽くなります。この関係を逆にたどれば、比重から水分の多い少ないを推し量ることもできます。

水分で比重が変わる——FAOの表を読む

朝の台所で屈折計にはちみつを一滴のせ、光にかざして水分を測る淡彩イラスト 水分は屈折計で読み取ることができる

はちみつの比重は一定ではなく、水分によって動きます。国連食糧農業機関(FAO)の資料には、20℃でのはちみつの比重が水分ごとに示されています。

水分比重(20℃)
13%1.4457
15%1.4350
17%1.4237
18%1.4171
20%1.4027
21%1.3950

水分1%でおよそ0.006〜0.007動く

表の隣り合う値から計算すると、水分が1%増えるごとに比重は0.005〜0.008ほど下がります。たとえば15%から17%の2ポイントで0.0113、18%から20%の2ポイントで0.0144の差です。小さな数字に見えますが、この差が屈折計などで水分を読むときの手がかりになります。屈折計の数字から水分を読む方法は、屈折計の数字から水分量を読む方法で整理しています。水分が変わると、とろみも大きく変わります。その話は水分でとろみが約20倍変わる話にまとめました。

規約の水分20%上限は比重1.40前後にあたる

関税中央分析所の資料(関税中央分析所報 第57号)によると、はちみつ類の表示に関する公正競争規約は、基準として水分20%以下(屈折計法)、果糖とブドウ糖の合計60g/100g以上、ショ糖5g/100g以下などを定めています。この規約は2003年にCodex規格を取り入れて改訂されたものです。

FAOの表で水分20%は比重1.4027なので、規約の上限は比重1.40前後にあたります。重量表の「200mlで280g」が、ちょうど基準の上限付近の蜜に当たる、と読めるわけです。

ただし、比重が高いことは品質が高いことを意味しません。比重は水分の多い少ないを示すだけで、花の種類などによっても少し変わります。

大きなタンクで蜜が層に分かれる理由

FAOの資料には、大型タンクでは水分の多い(軽い)蜜が、乾いた重い蜜の上に層を作ることがあると書かれています。よく混ぜれば防げるそうです。比重の差は、液体が混ざらず上下に分かれるほどには、はっきり働くのだと分かります。

瓶の容量とグラムを換算する

朝の台所で、はちみつの瓶と同じ大きさの水の瓶を並べた淡彩イラスト 同じ瓶でも、はちみつは水より重い

瓶の容量は、グラムを比重で割れば出ます。1kg入りの瓶は、水分18〜20%の蜜でおよそ700〜710mlです。

1kgはおよそ700〜710ml(水分18〜20%の場合)

FAOの表の値で計算すると、水分18%(比重1.4171)なら1000÷1.4171で約706ml、水分20%(比重1.4027)なら約713mlです。大まかには、700ml強と覚えておけば十分です。水より重いぶん、1kgは1リットルに届きません。

500g瓶は約350ml

500g入りも同じ計算で、約353〜357mlです。およそ350mlと見ておけば、ほぼ合います。

大さじ1杯は水分13%なら約21.7g、20%なら約21.0g——差は1g未満

大さじ15mlに比重をかけてみます。水分13%(1.4457)なら約21.7g、20%(1.4027)なら約21.0gです。水分が7ポイントも違うのに、大さじ1杯の差は1g未満です。21gという早見値は、水分が多少違っても、台所では十分に使える目安だと言えます。

量るなら容量より重さで——台所での使い分け

分量をきちんと合わせたいなら、スプーンやカップより、はかりでグラムを量るほうが確実です。ただし、早見値は水分が標準的で、スプーンにきれいに入る状態が前提の数字です。

とろりとした蜜はスプーンに残る分だけ少なくなる

粘りのある蜜は、スプーンから流し入れても、表面に薄く残ります。この残りは杯数が多いほど積み重なり、実際の量が少なくなります。はかりに器を載せ、直接注いで量れば、残る分を気にせずにすみます。

結晶した蜜は杯数ではなくグラムで

結晶した蜜は、粒のあいだに隙間ができたり、スプーンにうまく詰まらなかったりして、同じ大さじでも重さがばらつきます。固まった状態では、杯数ではなくグラムで量るのが向いています。保存中に水分が変わる点は、保存中に湿気を吸って糖度が下がるしくみでも触れています。

砂糖のレシピを置き換えるときは杯数でなく重さと甘さで考える

大さじ1杯で、上白糖は9g、はちみつは21gです。砂糖大さじ1をはちみつ大さじ1に置き換えると、重さは倍以上になり、水分も加わります。置き換えるなら、杯数ではなく重さと甘さの両方で考えるのが安全です。手順は料理で砂糖をはちみつに置き換える手順にまとめています。

大さじ1杯のエネルギーと、与えるときの注意

はちみつ大さじ1杯のエネルギーは約69kcalです。この数字は、成分表の値を重さにかけて出した、成分の話にとどまります。

大さじ1杯約69kcal・小さじ1杯約23kcal

文部科学省の食品成分表では、はちみつ100gあたりのエネルギーは329kcalです。大さじ1杯21gなら約69kcal、小さじ1杯7gなら約23kcalになります。ここから健康への作用を語ることはせず、ほかの食品と数字を並べる目安として使うのが、ちょうどよいと考えます。

1歳未満の乳児には与えない(乳児ボツリヌス症)

消費者庁と厚生労働省は、1歳未満の乳児にはちみつを与えないよう呼びかけています。乳児ボツリヌス症を防ぐための注意です。離乳食や飲みものに加える場合も同じで、加熱しても避けるべきとされています。理由は1歳未満にはちみつを与えてはいけない理由で詳しく扱っています。

よくある質問

Q:はちみつ大さじ1は何グラムですか?小さじや1カップでは?

国立健康・栄養研究所の重量目安表と広島市の換算表では、小さじ1杯(5ml)が7g、大さじ1杯(15ml)が21g、1カップ(200ml)が280gです。いずれも、すりきりで量る前提の数字です。

Q:はちみつ1kgは何mlですか?

比重1.40〜1.42で割ると、およそ700〜710mlです。水分が少なく比重の高い蜜ほど、同じ1kgでもmlは小さくなります。FAOの表から計算すると、水分18%で約706ml、20%で約713mlです。

Q:はちみつはなぜ水より重いのですか?

文部科学省の食品成分表では、100gのうち炭水化物が81.9g、水分が17.6gです。水より重い糖が全体の8割以上を占めるため、同じ体積なら水の約1.4倍の重さになります。

Q:重いはちみつほど糖度が高いのですか?

同じ温度なら、水分が少ないほど比重は上がります。その意味で、比重が高い蜜は水分が少なく、糖度が高い傾向があります。ただし、花の種類などによっても少し変わるので、比重だけで品質の良し悪しを決めることはできません。

Q:砂糖大さじ1の代わりにはちみつ大さじ1でよいですか?

おすすめしません。大さじ1杯で上白糖は9g、はちみつは21gと倍以上違い、はちみつには水分も入っています。杯数ではなく、重さと甘さで考えるのが基本です。

六角門は、京都で養蜂を軸にした健康ブランドの準備を進めています。蜜蜂を迎える前の今は、はちみつや養蜂について調べたことを、出典を確かめながら書きとめている段階です。重さや水分のような小さな数字も、これから向き合う蜜を知る手がかりとして、ひとつずつ整理していきたいと考えています。